ペタリ、チョキチョキ、チクチク… 日々の手詩事
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ビニール傘差してゆく
一人散歩は
普段より
木々のおしゃべり
よく聞こえます
私は読書の女王だった。

中学、高校と鬼のように本を読んだ。
卒業の時は
読書カードが辞書ほどの厚さに膨らんで
司書の先生から返ってきた。

私の行っていた学校は図書室が大学並みに広かったので
どこがあったかいとか、日の光がはいるとか
薄暗いとか、あまり人が通らないとか
風通しがいいとか、じめじめしているとか

本当によく知っていた。

泣きたいときは
図書室のお気に入りの場所に行って
声を殺して泣いた。

柔らかいレースのカーテンから漏れてくる
やさしい光がふわふわと私を包んで
その時、私は過去の知識を含んだ書物と一体になり
孤独から解放されたのだった。

入ってきたばかりの
新刊のカードに名前を一番に書きつけるのも好きだった。

古い書物の、だれからも借りられていない本に
そっと名前を付けるのも好きだった。

図書館にいると、私は一人ではなくなった。

過去に死んでいったたくさんの人々が
悩みや苦しみの果てに書き付けた書物を読んでいくのは
私を孤独から解放した。

作者はみんなひどく悩んでいて
ひどくだめな人間だったけれど
実際に触れることができないからこそ一緒にいることはつらくなかった。

不思議なことは
そのころから、本を引き当てる運や勘が向上したことだった。

例えば、私があることについて悩んでいるとする。
その悩みを解き明かしてくれる書物はいったいどれだろうか、
と思って図書館で探すことが重なっていくうちに
パラパラと本屋で立ち読みをしても
どの本が自分に「合う」本なのか、「答え」のヒントを持っている本なのか
と、言うことがだいぶ分かるようになり
どの本を購入すれば失敗がないのかということが
なんとなく分かるようになる運や勘が備わったようなのだった。

不思議なことに
人には「こういう本を探している」とはなかなか伝えにくい。

恥ずかしいのもあるけれど
苦手な文体とか、言い切り口調が苦手だとか、こういう癖のある文章は苦手だとか
不器用な文章でもこういう美点があればすっと頭に入るとか
自分の読書には好みがあって
そこまで人に完全に伝えきることは難しいのだ。

おかげで、悩んでいる友達に
すすっと、「こういう本があるよ」と私なりの答えのヒントが載っている本を
何冊か進められるという特技まで出来てしまった。

下手に私が相談に乗るよりも
読書にて先の賢人たちの悩みや慟哭を聞いていた方が
よっぽど慰めになるのではないかと
思うのだ。

大人になると、友人が困っていても
四六時中ついていることはできないのだから
せめて、そういうところに愛を込めたいなぁと思う。





図書館は、私の楽園だった。

理想の場所、というと図書館を思い出す。

今も、あの場所を求めているような気がしてならない。
あれは母の胎内だったのだと思う。


もし、中学、高校とあの場所にいなかったなら
私は今ほど幸せではなかっただろう。

今ほど悩まなかったかもしれないが
救われなかっただろう。

今となってはもう帰れない場所だけど
いつか、あの場所に似た空間を所有していたいように思う。

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落ちていく
粉砂糖は
音もなく
君の笑い声のように
こだまする

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静かな時間は
貴方からの
贈り物
何気ない「間」に
宿っている愛

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君の目が
ぴかぴかするから
見ない振りする
「埃っぽいね」なんて
言いながら

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